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忘れられた訳書

 あまり知られていないようだが、戦前にも、三浦義臣氏による封神演義の翻訳(抄訳)があった。国会図書館で読むことができる。
『満蒙』という雑誌に連載され、その後、『封神傳(フウシンデン) : 支那小説』(344P)(1935)『物語叢書3 支那怪奇物語』(343P)(1936)として言海書房から刊行されている。

 クリックで、国立国会図書館サーチのページが開きます。
 どちらも同じ三十九章立て。

一 神を瀆す詩句 / 1
二 姐妃の官仕 / 9
三 妖氣宮中を穢亂す / 18
四 炮焰の慘刑 / 26
五 王妃の最期 / 34
六 二王子の行衞 / 47
七 四侯の運命 / 57
八 蓮華の化身 / 64
九 姜子牙の下山 / 77
十 雷震子父を救ふ / 87
十一 姜子牙文王と結ぶ / 96
十二 鹿臺の怪異 / 101
十三 鹿臺に散る名花二輪 / 119
十四 黃飛虎武王に合す / 128
十五 首を飛ばず申公豹 / 136
十六 九龍島の四仙 / 143
十七 殷軍氷詰めとなる / 154
十八 魔家の四天王 / 158
十九 聞太師の出陣 / 167
二〇 十絕陣の猛威 / 175
二一 趙公明を射る桑の弓 / 185
二二 聞太師の最期 / 195
二三 土行孫嬋玉を娶る / 205
二四 蘇護の西征 / 212
二五 師に背く殷洪灰となる / 217
二六 殷郊梨鋤の厄に遭ふ / 221
二七 子牙東征の軍を發す / 227
二八 金鷄嶺・佳夢關の戰 / 234
二九 靑龍關を屠る / 247
三〇 靑龍關軍痘毒に惱む / 253
三一 五岳の將軍枕を並べて戰死す / 269
三二 周軍黃河を渡る / 273
三三 大下の諸侯孟津に會す / 277
三四 孟津の大會戰 / 286
三五 周軍朝歌に迫る / 296
三六 姐妃周軍に斬らる / 308
三七 紂王の最期 / 315
三八 武王西岐に凱旋す / 324
三九 封神の盛儀 / 332

国立情報学研究所(NII)Webcat Plus 参照


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封神演義の詩は

『封神演義』の詩の部分をどう翻訳するかには頭をかかえてしまいます。

 原文を読み下しにしたのでは意味不明であったり、話の先まで書いてしまっていて興をそいだり、えんえんと繰り返しだったり、語調が整わなかったり…

 集英社文庫版の場合、大きくそこなわずに、読みやすくという視点から、かなり意訳に傾いています。あるいは、言葉を取り出して原文に入れこんで、描写の追加をしたり。

 詩そのものは、おそらく当時にあったものを引用・もじりなどしたのでしょう、他の小説とよく似たものがたくさん出てきます。
 将来、きちんと訳注のついた完訳がなされるときには、これは『○○』の詩と似ていてうんぬん…ということが指摘されていくのではないかと思います。

テーマ : 詩・ことば
ジャンル : 小説・文学

封神演義訳注未満

 集英社文庫版『封神演義』は、原書の『封神演義』を理解しやすいように訳してあるものです。

 たとえば、三十三章のはじめのあたり、馬元の顔を「うりのようなごつごつした顔」としていますが、原文は「面如瓜皮」(原書六十回)の四文字です。

 意味を理解するには、中華圏での瓜のイメージを理解することが必要です。

 日本では「瓜」というと、緑色でつるりとしたイメージ、瓜子姫のイメージなどが重なり、つるりとしていてかわいらしいというイメージになります。

 しかし、中華圏の瓜のイメージは、「ごつごつしている」「あばた面」、つまり、日本でいうと、だいたいゴーヤ(レイシ)のイメージでとらえる必要があります。

 読みにくくならないで理解できるようにと配慮して、理解の助けになる言葉を足して訳してあるのです。

 章末などに訳注を付けた翻訳ではないですので、このあたりでご容赦願いたいという選択でした。
 この抄訳のスタンスは、原書の内容を大きくそこなわず、読みやすくというものでしたので、こうなっています。

 徒然なるままに集英社文庫版『封神演義』の事を思いだしてみました。余談です。



完訳 封神演義 は…

 以前に、「『封神演義』は完訳されていない」という意味 について書いたのですが、再度確認します。

『封神演義』は、日本ではまだ完訳されていません。

 中国文学の翻訳には、およそ三種類があります。

①注釈を楽しみながら読む 学者による完全な訳。これを完訳といいます。
②物語の部分あるいは大筋などを紹介する抄訳。
③間に入った作家などが現代でも面白く読めるように工夫を加えている編訳。

 すべて等しく大切であり、どれも異なるものとして、それとわかった上で楽しめばいいと思います。

①②に関していえば訳文が読みにくいものもかなりあるので、それで作品嫌いになられても困ります。
③は作家の力量次第で面白くもつまらなくもなりえます。
編訳・抄訳は、ただ「訳」と書いてあることも多く(特に児童書)、編訳は、原作にないシーンが入れてあったりするので、あとで原作を読んで、記憶に残っていたシーンがないといったようなこともままあります。

 作品を読む順序としては、③か、短めの②から読みはじめて、最後は①とか原文にいくというのが、およそたどる方向なのですが、『封神演義』に関しては、何しろ①がありません。

『西遊記』同様に、『封神演義』を注釈なしで読んでも、表面的にしか理解できません。

 表面でも十分楽しめますが、奥行きを知ればもっと面白くなる作品です。

 現実にあれだけ根をはった作品ですから、大量の論文資料を読みあさっていくうちに、だんだん理解が深まっていくのです。

 言葉が何を意味しているかから、挿入された詩やエピソードや神仙などが、どこから取られたものであるかというようなことから、演劇や人相表現、作品の書かれた明代の道教仏教や民間信仰への目配り、『封神演義』が出版されてどんな影響を与えたのか、などなど。質的にも量的にも膨大な訳注がつくことで初めて、解釈された完訳になります。
 そういったものがない訳では、①として楽しむに足りないわけです。

『封神演義』が、まだ完訳されていないというときの「完訳」には、そういう意味があります。

 ただし、完訳を求めるのは人数的にもごくわずかな人ですし、何十年とかかる作業ですから、金銭的なこともあって、できる人もする人もいないのです。

--------------------------------------

 ここまでは以前の記事の内容です。

『完訳 封神演義』までは無理でも、少しずつそれににじりよっていこうという気はあります。

 とはいえ、原文をそのまま訳しても、特に会話部分が同じことを繰り返し続けていて、お世辞にもできがよくなくていらいらしてしまうというところで、個人的につまずきます。
 そのいちいちに注釈までは、とてもとても根気が追いつきません。
 それに、著名でも大学に勤めているでもないですから、万一完訳したところで、出してくれる出版社はありません。

 面白いと思える部分だけを取り出して抄訳にする程度が、自分の限界かなと思っています。
 初めて『封神演義』を読んでみようという人のために、原書を大きくそこなわずに読みやすく内容を伝える抄訳になるように努力していこうと思います。内容的にも、長さ的にも。


「『封神演義』は完訳されていない」という意味

 もう十年以上たったし、このあたりで『封神演義』についてのことを、つれづれに書いておこうかと思います。

『封神演義』は、日本ではまだ完訳されていません。

中国文学の翻訳には、およそ三種類があります。

①注釈を楽しみながら読む 学者による完全な訳。これを完訳といいます。
②物語の部分あるいは大筋などを紹介する抄訳。
③間に入った作家などが現代でも面白く読めるように工夫を加えている編訳。

 すべて等しく大切であり、どれも異なるものとして、それとわかった上で楽しめばいいと思います。

①②に関していえば訳文が読みにくいものもかなりあるので、それで作品嫌いになられても困ります。
③は作家の力量次第で面白くもつまらなくもなりえます。
編訳・抄訳は、ただ「訳」と書いてあることも多く(特に児童書)、編訳は、原作にないシーンが入れてあったりするので、あとで原作を読んで、記憶に残っていたシーンがないといったようなこともままあります。

 作品を読む順序としては、③か、短めの②から読みはじめて、最後は①とか原文にいくというのが、およそたどる方向なのですが、『封神演義』に関しては、何しろ①がありません。

『西遊記』同様に、『封神演義』を注釈なしで読んでも、表面的にしか理解できません。

 表面でも十分楽しめますが、奥行きを知ればもっと面白くなる作品です。

 現実にあれだけ根をはった作品ですから、大量の論文資料を読みあさっていくうちに、だんだん理解が深まっていくのです。

 言葉が何を意味しているかから、挿入された詩やエピソードや神仙などが、どこから取られたものであるかというようなことから、演劇や人相表現、作品の書かれた明代の道教仏教や民間信仰への目配り、『封神演義』が出版されてどんな影響を与えたのか、などなど。質的にも量的にも膨大な訳注がつくことで初めて、解釈された完訳になります。
 そういったものがない訳では、①として楽しむに足りないわけです。

『封神演義』が、まだ完訳されていないというときの「完訳」には、そういう意味があります。

 ただし、完訳を求めるのは人数的にもごくわずかな人ですし、何十年とかかる作業ですから、金銭的なこともあって、できる人もする人もいないのです。
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Author:SUIKO_S
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著書:集英社文庫版『封神演義』(編訳)他。
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