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「『封神演義』は完訳されていない」という意味

 もう十年以上たったし、このあたりで『封神演義』についてのことを、つれづれに書いておこうかと思います。

『封神演義』は、日本ではまだ完訳されていません。

中国文学の翻訳には、およそ三種類があります。

①注釈を楽しみながら読む 学者による完全な訳。これを完訳といいます。
②物語の部分あるいは大筋などを紹介する抄訳。
③間に入った作家などが現代でも面白く読めるように工夫を加えている編訳。

 すべて等しく大切であり、どれも異なるものとして、それとわかった上で楽しめばいいと思います。

①②に関していえば訳文が読みにくいものもかなりあるので、それで作品嫌いになられても困ります。
③は作家の力量次第で面白くもつまらなくもなりえます。
編訳・抄訳は、ただ「訳」と書いてあることも多く(特に児童書)、編訳は、原作にないシーンが入れてあったりするので、あとで原作を読んで、記憶に残っていたシーンがないといったようなこともままあります。

 作品を読む順序としては、③か、短めの②から読みはじめて、最後は①とか原文にいくというのが、およそたどる方向なのですが、『封神演義』に関しては、何しろ①がありません。

『西遊記』同様に、『封神演義』を注釈なしで読んでも、表面的にしか理解できません。

 表面でも十分楽しめますが、奥行きを知ればもっと面白くなる作品です。

 現実にあれだけ根をはった作品ですから、大量の論文資料を読みあさっていくうちに、だんだん理解が深まっていくのです。

 言葉が何を意味しているかから、挿入された詩やエピソードや神仙などが、どこから取られたものであるかというようなことから、演劇や人相表現、作品の書かれた明代の道教仏教や民間信仰への目配り、『封神演義』が出版されてどんな影響を与えたのか、などなど。質的にも量的にも膨大な訳注がつくことで初めて、解釈された完訳になります。
 そういったものがない訳では、①として楽しむに足りないわけです。

『封神演義』が、まだ完訳されていないというときの「完訳」には、そういう意味があります。

 ただし、完訳を求めるのは人数的にもごくわずかな人ですし、何十年とかかる作業ですから、金銭的なこともあって、できる人もする人もいないのです。
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完訳 封神演義 は…

 以前に、「『封神演義』は完訳されていない」という意味 について書いたのですが、再度確認します。 『封神演義』は、日本ではまだ完訳されていません。  中国文学の翻訳に

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